きらびやかな世界ほど色々あるんすね。

ナタリー・ポートマンがすごいよかった。

人はそんなに悪にはなりきれん。

これを見るのは二回目だなぁ。
とにかく、色がすごい。
目が覚めるぐらいたくさんの色がどかーんと出てくる。

ストーリーは、ちょっと複雑。
とある事情で体が不自由になった青年。
彼は死にたいけど、死ぬことすらできない。

そんなとき、同じ病院に入院していた女の子を見かける。
あの女の子をうまく騙して、薬を手に入れられないか…。
そんな風に考えた彼は、お話をしてあげると女の子に自分の作った物語を話し始める。

彼は本当に絶望しているし、人を幸せにしてあげようなんてことは微塵も考えてない。
女の子に話さなくていい現実を話したり、とてつもなく傷つけたりする。

でも何いってんだよって感じだけど、進んで不幸になりたい人なんていないんじゃないかな。
同時に進んで人を不幸にしたいなんて人もいないんじゃないかなと。

そんな風に思うのです。

どれが本当なのかな?

すっごい見たい映画が続く時期と、そうでない時期が続くときがある。
そういう時には怖い映画が見たくなるのです。

というわけで、精神的に怖そうなこれを見てみました。
ディカプリオはあんまり好きではないんだけども、話はおもしろかったです。

途中から「待て待て」って思いながら見ていたんです。
最後「えー」っていう感じです。

意外と描写が生々しいのと、本気で精神的に凹んでるときとか、
1人で見るのはやめた方がいいかなぁと思った。

私は割りと感情移入しやすいタイプなんで、特にズシーンときましたですよ。

人には自分が見ている現実と、他人が見ている現実にブレがあるといいます。
こんなにブレることはないんだけど、そんなことが日常にもありそうな気がした。

いずれくるそのとき。

4月に祖父が亡くなった。
のっけから、なんとなく暗い話で恐縮だが、つながっているので仕方ないのです。

私は子供の頃、もろもろの事情で祖父母に育てられた。
どこへ行くにも一緒だったので、小さな頃の思い出には、大抵、じいさんとばあさんがいる。

90過ぎても車を乗り回して、毎日風呂掃除が日課だったじいさんは、
「明日、退院だけん、心配せんでええ」
と言いつつ、そのまま退院することなく、病院で亡くなってしまった。

じいさんはおしゃれな人だった。
白装束じゃ嫌がるだろうと、三つ揃えのスーツをパリッと着こなしお棺の中に眠っていた。

不思議なことがひとつだけあった。

真っ白だったじいさんの髪の毛が、真っ黒になっていた。
きっと納棺師さんがしつらえてくださったんだろうと思っていたが、何もしていないと言う。
その言葉を信じて、私はじいさんが最後の瞬間、飛び切りのおしゃれをしたんだと思っている。

じいさんは退院したらケンタッキーが食べたいと言っていた。
従姉妹が棺の中に6ピースパックを入れてあげた。
それを見てちょっと泣き笑いになった。

普通の人からしたら、ちょっと変わっているように見えるだろうし、
お坊さんも思うところはあったと思う。

でも、人をおくるというのはこういうことなんだと思った。

この映画でも、傍から見たら「ちょっと不真面目なんじゃないか」と思うシーンが出てくる。
おじいさんが横たわるその脇で、口紅をぬりたくる娘と奥さん、そして孫達。
そして、代わる代わるおじいさんの顔にキスマークをつけていく。
その顔を見て、笑う。そして、こう言う。
「パパ、ありがとう」
その瞬間、みんなの顔が泣き笑いになる。

年をとると、なんとなく最後の時のことを考えたりする。
そのとき、自分も残された人達も幸せな気持ちだったらいいなと思った。

時間を何ではかろう。

人ってどんな状況下に於いても、迷ったり勘違いしたり、
逃げたり暴走したり、やっぱ一通りはありますよね。

それって振り返ってみたら、笑えてしまうようなことかも知れないけど、
その時は、ものすごくつらくてどうしようもなかったりする。

そんな時、本当に必要なものってなんだろう
言葉が足りなくても、いてくれるだけでいい。
自分が一人じゃないと言うことが、乗り越える力をくれる訳で、
これに勝るものは、多分ないんじゃないかと思う。

その中のワンシーン。
エイズと戦う患者達の集まりで、とある男性がこう言う。
「昨日、T細胞が減少してるのが分かったんだ」
別の男性がこう訪ねる。
「その時、どう思った?」
「怖かった」
「今はどんな気分だ?」
「今は、だいぶ落ち着いたよ」
「なぜ怖かったんだと思う?」
その質問に彼は肩をすくめながら、こう答える。
「N.Y.は危険がいっぱいだからさ」
この瞬間、笑いがさざめく。

人間の「Love」を
より多く感じさせられた映画でした。

私は出てきた登場人物の中で、エンジェルが一番好きです。
彼は女装したゲイで、人からも奇異な目で見られるけど、
ドラムが得意でリズム感抜群、明るくて前向きな女性。

彼女の思い出を語るシーンで、友人の一人がこんな事を言います。
「ある日、エンジェルをスキンヘッドの男がからかったの。
 そしたらエンジェルはこう言い返したのよ。
“私はあんたより男らしいし、あんたの女より女らしいわよ”ってね」

いやー、かっこいいね。

最後に、冒頭の「Seasons of Love」と言う歌の歌詞を。

525,600分の大切な時間。
キミはその時間を何で計る?