2010.08.24 Tuesday
2010.08.24 Tuesday
いずれくるそのとき。
4月に祖父が亡くなった。
のっけから、なんとなく暗い話で恐縮だが、つながっているので仕方ないのです。
私は子供の頃、もろもろの事情で祖父母に育てられた。
どこへ行くにも一緒だったので、小さな頃の思い出には、大抵、じいさんとばあさんがいる。
90過ぎても車を乗り回して、毎日風呂掃除が日課だったじいさんは、
「明日、退院だけん、心配せんでええ」
と言いつつ、そのまま退院することなく、病院で亡くなってしまった。
じいさんはおしゃれな人だった。
白装束じゃ嫌がるだろうと、三つ揃えのスーツをパリッと着こなしお棺の中に眠っていた。
不思議なことがひとつだけあった。
真っ白だったじいさんの髪の毛が、真っ黒になっていた。
きっと納棺師さんがしつらえてくださったんだろうと思っていたが、何もしていないと言う。
その言葉を信じて、私はじいさんが最後の瞬間、飛び切りのおしゃれをしたんだと思っている。
じいさんは退院したらケンタッキーが食べたいと言っていた。
従姉妹が棺の中に6ピースパックを入れてあげた。
それを見てちょっと泣き笑いになった。
普通の人からしたら、ちょっと変わっているように見えるだろうし、
お坊さんも思うところはあったと思う。
でも、人をおくるというのはこういうことなんだと思った。
この映画でも、傍から見たら「ちょっと不真面目なんじゃないか」と思うシーンが出てくる。
おじいさんが横たわるその脇で、口紅をぬりたくる娘と奥さん、そして孫達。
そして、代わる代わるおじいさんの顔にキスマークをつけていく。
その顔を見て、笑う。そして、こう言う。
「パパ、ありがとう」
その瞬間、みんなの顔が泣き笑いになる。
年をとると、なんとなく最後の時のことを考えたりする。
そのとき、自分も残された人達も幸せな気持ちだったらいいなと思った。
2010.08.16 Monday
ささやかな夏休み(2)
2010.08.16 Monday